しまむらの2026年3~5月期決算は、純利益が前年同期比19.0%増の128億5700万円となり、この四半期として過去最高を更新しました。売上高は7.9%増の1816億6300万円、営業利益は16.8%増の178億9000万円、経常利益も18.9%増の187億9400万円と、主要な利益項目がそろって二桁の伸びを記録しています。増収率を上回るペースで利益が拡大した点にこの決算内容の特徴があり、アパレル業界の中でも際立って好調な内容でした。ここでは決算の数値そのものだけでなく、好調を支えた商品戦略や販促手法、株式市場の反応、そして今後の見通しまでを順に見ていきます。

決算の基本数値は純利益128億5700万円で19.0%増
2026年3~5月期の連結決算における主要な数値は次の表の通りです。
| 項目 | 2026年3~5月期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 純利益 | 128億5700万円 | 19.0%増 |
| 売上高 | 1816億6300万円 | 7.9%増 |
| 営業利益 | 178億9000万円 | 16.8%増 |
| 経常利益 | 187億9400万円 | 18.9%増 |
数字を並べただけでも好調さは伝わりますが、注目したいのは各利益項目の伸び率が売上高の伸び率を上回っている点です。売上の伸びが7.9%にとどまる一方、営業利益は16.8%増、純利益は19.0%増まで伸びています。原価や販管費の伸びを利益の伸びが上回る形になっており、増収に加えて利益率まで改善したことになります。四半期ベースの営業利益・経常利益・純利益はいずれも過去最高で、しまむらグループはこの時期として3年連続の最高益を達成しました。
営業利益率は9.8%に改善、増収率を上回る利益成長
売上高営業利益率は前年同期より1ポイント弱改善し、9.8%となりました。売上が伸びるとコストも比例して膨らむのが小売業の一般的な姿ですが、しまむらの場合はコストの伸びを利益の伸びが上回っています。背景には、賃上げによる人件費の6%増加を、紙チラシの削減や社内スタジオを活用したコンテンツ内製化による広告宣伝費の抑制で相殺し、なお余りある形で利益を押し上げたという事情があります。人件費というコスト増加要因を販促費の効率化で吸収した格好で、単に商品が売れただけでなく、経営の効率化が利益率改善に寄与したと評価できます。
紙媒体からデジタルへの転換は多くの小売業が抱える課題ですが、しまむらはSNSやインフルエンサー施策、社内スタジオでのコンテンツ制作という仕組みを整えることで、広告効果を保ちながらコストを圧縮する体制を築きつつあります。
FIBER DRYが14%超の増収、超COOLも猛暑対応で好調
しまむら事業の好調を支えた柱は、自社開発ブランド(PB)の拡充とキャラクター商品の展開、そしてインフルエンサーを軸にした販売施策の3つに整理できます。
主力のしまむら事業では、吸水速乾機能を持つPB「FIBER DRY」が14%を超える増収を記録しました。高気温対策として展開する「超COOL」も好調に推移しています。近年の夏場の気温上昇を踏まえ、快適性や機能性を訴求するPB商品への投資が着実に成果として表れた形です。PBとは、しまむらが自社で企画・開発する独自ブランド商品を指します。「クロッシー」「クロッシープレミアム」といった既存シリーズも売上を下支えしたとみられます。
キャラクター商品は22%増、EC限定アイテムは約3000点に拡大
キャラクター商品については、自社限定企画や新カテゴリーの展開によって、衣料品だけでなく雑貨など関連商品の売上も伸びました。人気キャラクターとコラボした商品は22%増と大きく伸びており、キャラクターIP(知的財産)とのコラボレーションが話題作りにとどまらず、実売数量と客単価の両面で収益に直結していることがうかがえます。
販売面では、インフルエンサーを活用した企画や地域別の施策が、気温変動の影響を受けにくい戦略として機能しました。しまむらは以前から、SNSで活躍するファッションインフルエンサーとコラボした商品開発に積極的で、「プチプラのあや」氏や「星玲奈」氏とのコラボが代表例として知られています。EC限定商品も拡充しており、店舗では扱いにくい大型商品や特殊サイズ商品を含め、EC限定アイテムは現在約3000点規模まで広がりました。将来的には5000点以上への拡大を計画しているとされ、しまむら事業のEC売上のうち約6割をEC限定アイテムが占めているという情報もあります。インフルエンサーコラボ商品は若年層を中心に発売前から期待感を高め、発売日に即完売となるケースも珍しくないといいます。
しまむらは公式のAIモデル「瑠菜」をアンバサダーとして起用し、Instagramでタイアップ投稿を行うなど、デジタルマーケティングにも力を入れています。加えて「しまレンジャー」と称して男女6名のタレントを起用した公式TikTokアカウントを運用しており、若年層への接点を多角的に広げています。こうしたSNS戦略は、紙のチラシに依存しない販促手法として、コスト構造の改善にもつながっています。
新PB「ヘビロテ」「ラクっと!」「どこでもっと!」が品揃えを拡充
商品力の強化では、自社開発のPBに加えて、サプライヤーとの共同開発ブランド(JB)の品揃え拡充も進みました。「FIBER DRY」が堅調に推移したことに加え、今期新たに投入されたPB企画が売上の底上げに寄与しています。具体的には、長く愛用できる定番アイテムをそろえた「ヘビロテ」、家族の暮らしを楽にすることをコンセプトにした「ラクっと!」、日常から特別な場面まで幅広く活躍する「どこでもっと!」という新シリーズが、昨年にはなかった商品群として展開されました。単一の主力商品に頼らず、機能性・実用性・多用途性という異なる切り口のPBを同時に投入したことが、幅広い客層への訴求力を高め、既存店の底上げにつながったとみられます。複数ラインの同時展開は特定のトレンドや天候条件への依存度を分散させる効果も持ち、売上のブレを抑える一因になっていると考えられます。
アベイルは5.3%増の172億5600万円、バースデイは2.3%増の224億6400万円
しまむらグループは、主力のしまむら事業のほか、カジュアル&シューズ業態の「アベイル」、子供服・ベビー用品を扱う「バースデイ」など複数の業態を展開しています。比較対象となる2025年3~5月期の実績では、グループ全体の売上高は1683億6900万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は153億1100万円(同5.0%増)、経常利益は158億1200万円(同4.3%増)、純利益は108億200万円(同3.5%増)でした。今回の2026年3~5月期は、この108億200万円という土台から19.0%の増益を達成したことになります。
アベイル事業の売上高は5.3%増の172億5600万円でした。JB(共同開発ブランド)を中心としたトレンド提案に加え、人気が急上昇しているギャルファッションを素早く商品化したことで、幅広いターゲット層を取り込みました。キャラクター商品では、人気キャラクターの誕生日を祝う企画や映画とのコラボ企画に加え、部門を横断して品揃えを拡充する「ライン・ロビング」の手法も活用されています。
バースデイ事業の売上高は2.3%増の224億6400万円でした。主力のJBやPBに加え、キャラクター商品、入園・入学シーズン向けのオケージョン商品など多彩な商品展開を通じて、幅広いターゲット層を取り込んでいます。主力のしまむら事業がPB・キャラクター商品・新シリーズの投入で牽引役となった一方、アベイルとバースデイもそれぞれの客層特性に応じた商品展開で、グループ全体の成長を下支えしています。
3年連続の最高益は複数期にわたる更新の延長線上
しまむらグループは、今期に限らずここ数年、複数の決算期で最高益更新を続けてきました。2025年3~8月期(第2四半期累計)の決算では、純利益が前年同期比4%増となり、この期間として5年連続で過去最高を更新しています。2026年2月期の通期決算でも、売上高・営業利益・純利益がそろって過去最高を更新しました。
今回の2026年3~5月期における3年連続の最高益は、しまむらグループが近年築いてきた連続最高益更新という流れの延長線上にある成果です。PBやJBの戦略強化、キャラクター商品の拡充、SNSやインフルエンサーを軸としたデジタルマーケティングへの投資、そしてコスト構造の効率化という複数の施策が積み重なった結果として、継続的な増益の基調が形成されています。
決算発表後の株価は一時4.98%高の3478円、3カ月ぶりの高値
しまむらは2026年6月29日に今回の決算を発表し、株価は一時、前日比165円(4.98%)高の3478円まで上昇して3カ月ぶりの高値をつけました。同時期に決算を発表した他のアパレル企業の中には株価が下落した銘柄もあり、しまむらの決算内容は市場から相対的に高く評価されたことがうかがえます。梅雨時など天候条件が厳しい中でも商品力と販売力によって増収増益を確保した点が評価されたとの見方もあります。
6月度の既存店売上高は2.0%減、梅雨と肌寒さが響く
決算発表後に公表された6月度(5月21日~6月20日)の月次売上速報では、主力のしまむら業態の既存店売上高が前年同月比2.0%減となり、6カ月ぶりに前年実績を下回りました。全国的な梅雨空と肌寒さにより、夏物需要の立ち上がりが鈍化したことが要因とされています。第1四半期は好調でしたが、天候要因によって月ごとの売上には振れがあり、通期を通じた業績動向を注視する必要があります。
しまむらの決算についてよくある疑問として、なぜ好調な第1四半期の後に既存店売上高が前年割れしたのかという点が挙げられます。答えは単純で、6月の梅雨長引きと気温の低さが夏物衣料の動きを鈍らせたためです。機能性PB商品による需要の底上げが、こうした天候リスクをどこまで吸収できるかが、今後の焦点になります。
2027年2月期の通期予想は据え置き、営業利益668億4200万円を計画
2027年2月期の通期連結業績予想については据え置かれました。会社側の従来予想では、売上高は前期比4.2%増の7291億9300万円、営業利益は同8.7%増の668億4200万円を見込んでいます。第1四半期時点で好調な滑り出しを見せたものの、猛暑や冷夏、長雨といった天候要因は下期の業績を左右し得る不確実性であるため、保守的に従来予想を据え置いたとみられます。8月に発表される中間決算(3~8月期)の内容や、9月以降の秋冬商戦の動向次第で、通期予想の上方修正があるかどうかが焦点になるでしょう。
しまむらは1953年創業、埼玉発祥の郊外型チェーン
株式会社しまむらは、郊外を中心にファストファッション業態を全国展開する日本の衣料品チェーンストアで、本社は埼玉県さいたま市大宮区にあります。国内アパレル小売業の中では売上高で業界第2位の規模を持ち、全都道府県に店舗を展開するほか、海外では台湾にも進出しています。
1953年、埼玉県北西部の小川町で営業していた「島村呉服店」を株式会社として設立したのが始まりです。1957年にはセルフサービス方式を導入し、総合スーパーストア型の運営へと転換しました。1972年に「株式会社しまむら」へ社名を変更し、1991年には東京証券取引所第一部(当時)に上場しています。2003年にはしまむらグループとして1000店舗を達成、2009年には2000店舗を達成するなど、着実に店舗網を拡大してきました。現在は主力業態「ファッションセンターしまむら」が1422店舗、カジュアル&シューズ業態「アベイル」が323店舗を展開しており、このほかにも子供服・ベビー用品を扱う「バースデイ」などの業態を有するグループ経営を行っています。
中期経営計画「ネクスト・チャレンジ」は2027年2月期に売上高7190億円が目標
しまむらグループは、2025年2月期から2027年2月期までの3カ年を対象とした中期経営計画「ネクスト・チャレンジ」を進めています。基本方針は、既存店業績の伸長と積極的な出店により事業規模を拡大しつつ、効率的な運営で収益性を高めるというものです。数値目標としては、2027年2月期に売上高7190億円、営業利益660億円、営業利益率9.2%、そして期間中に150店舗の新規出店を掲げています。
具体的な取り組みとして、ヒット商品の開発、自社ブランドや企画商品の改良によるブランド力向上、部門を横断した「ライン・ロビング」推進による新規顧客獲得、データ分析の高度化による商品開発力の強化、販促手法の多様化とデジタル化の推進が挙げられます。加えて、都市部への出店強化、既存店のリロケーションや改装、ファッションモール形式での出店推進、サプライチェーンの再構築にも取り組んでいます。アベイルやバースデイについても、収益性向上によって成長けん引事業へ育てる方針が示されています。長期的には、2030年度に売上高8000億円以上、営業利益率10.0%を目標とする長期経営計画も掲げられており、今回の第1四半期の好調な決算は、こうした中長期の成長シナリオに対する順調な滑り出しと位置づけられます。
国内アパレル市場は8兆5000億円規模、猛暑で「五季」の動きも
2025年の国内アパレル総小売市場規模は8兆5000億円を超え、成長傾向を維持しています。一方で、近年の猛暑や気温変動の激しさは、多くのアパレル企業にとって商品計画(シーズンMD)の見直しを迫る要因になっています。同業他社の中には、従来の四季の区分を見直し、夏を初夏・盛夏(5~7月)と猛暑(8、9月)に分けた「五季」という考え方を導入し、実際の気温に即した商品投入を進める動きもあります。過去数年の傾向としては、8月までは夏物商戦で一定の売上を確保できるものの、9月に入ると売上が半減以下となり、10月以降はさらに落ち込むというパターンが見られます。
こうした環境の中で、しまむらが「FIBER DRY」や「超COOL」といった機能性PB商品を軸に、気温変動に左右されにくい商品構成と、インフルエンサー施策や地域別販促といった機動的な販売戦略を組み合わせている点は、同業他社との差別化要因として位置づけられます。同業他社が伸び悩む中でしまむらだけが決算後に株価上昇となった事実は、商品力と販売力の両面での競争優位が数字として表れた結果と言えます。
業界全体としてはDtoC(Direct to Consumer)モデルの定着が進み、自社ECサイトを通じた顧客データの活用が重視されるようになっています。DtoCとは、企業が卸や小売を介さず消費者に直接商品を届ける販売形態を指します。AIによるパーソナライゼーションと需要予測システムを統合したいわゆる「スマートSPA(製造小売業)」への移行が業界のトレンドとして挙げられており、しまむらのEC限定商品の拡充や公式AIモデルを活用した情報発信も、こうした業界全体のデジタル化の流れに沿った取り組みです。
配当は1株205円、2026年2月20日付の株式3分割で投資単位を引き下げ
好調な業績を背景に、しまむらは株主還元でも積極的な姿勢を示してきました。同社は長期的に配当を増やしてきた実績があり、2026年2月期の配当は1株あたり205円、配当利回りはおよそ1.90%でした。配当性向はおおむね30~40%の水準で維持されており、将来の成長投資のための内部留保と株主への利益還元のバランスを取る方針がうかがえます。加えて、株主還元強化の一環として自社株買いプログラムも実施されています。
2026年2月20日を効力発生日として、1株を3株に分割する株式分割がすでに実施されました。これにより個人投資家にとっての投資単位が引き下げられ、株式のアクセスのしやすさが向上しています。株式分割にあわせて株主優待制度の一部見直しも行われました。こうした一連の資本政策は、好調な業績を背景に株主層の裾野を広げる狙いがあるとみられます。
しまむらの主要顧客層は20~50代の主婦、ユニクロは幅広い層を想定
国内衣料品小売業界において、しまむらはユニクロ(ファーストリテイリング)、ワークマン、西松屋としばしば比較されます。ユニクロは「LifeWear」を掲げ、年齢や性別を問わない幅広い層に向けて機能性とベーシックなデザインを訴求しています。これに対し、しまむらの主要顧客層は20代から50代の主婦層とされ、トレンドを反映したデザインの商品をいち早く、かつ手頃な価格で提供することに強みを持ちます。家族単位でのまとめ買い需要に強い点も特徴で、低価格帯の日常着を幅広くカバーする品揃えによって支持を集めています。
ワークマンは作業服由来の高機能・低価格というコンセプトを一般衣料に展開し、機能性という軸でユニクロと競合する構図にあります。西松屋は乳幼児・子供服に特化しており、しまむらグループの中では同じく子供服・ベビー用品を扱う「バースデイ」と客層が重なる部分があります。各社は郊外・地方への出店が多い点で共通しますが、都心部への出店拡大に力を入れているしまむらに対し、西松屋やワークマンは都心店をほとんど持たないなど、出店戦略には違いも見られます。今回の決算でしまむらが同業他社と比較して株価上昇という形で高い評価を受けた背景には、こうした独自のポジショニングと、PB・キャラクター商品・デジタルマーケティングを組み合わせた戦略の効果が表れているとみることができます。
EC限定アイテムは約6割を占め、実店舗との相乗効果を生む
店舗中心のビジネスモデルを長年築いてきたしまむらですが、近年はEC事業の拡大にも力を入れています。店舗では在庫スペースの制約から扱いにくい大型サイズや特殊サイズの商品、インフルエンサーとのコラボレーション企画商品などを中心に、EC限定アイテムのラインアップを拡充しており、その点数はおよそ3000アイテム規模に達しています。将来的には5000アイテム以上への拡大を計画しているともいわれ、しまむら事業のEC売上高のうち約6割をこうしたEC限定アイテムが占めているという情報もあります。
EC限定のインフルエンサーコラボ商品は、SNS上での事前告知を通じて発売前から若年層を中心に期待感を高め、発売日に即完売となるケースも珍しくないとされます。店舗網という強固な基盤に、EC限定商品や企画を掛け合わせることで、来店機会の少ない若年層への接点を広げつつ、客単価の底上げにもつなげている格好です。このEC戦略は中期経営計画で掲げる「データ分析の高度化による商品開発力強化」や「販促手法の多様化とデジタル化推進」とも重なるもので、今後の成長ドライバーの一つとして位置づけられます。
各メディアの報道から見える論調の違い
今回の決算は、Yahoo!ニュースをはじめ、日本経済新聞や流通ニュースなど複数の媒体が取り上げました。Yahoo!ニュースの記事は、純利益や売上高、各利益の伸び率、PB・キャラクター商品、インフルエンサー活用といった好調要因を簡潔にまとめており、通期予想が据え置かれた点にも触れています。日本経済新聞は、株価が発表後に一時5%近く上昇したことや、同業他社との明暗が分かれた点を強調し、市場評価の観点から決算を報じました。流通ニュースは「ヘビロテ」「ラクっと!」「どこでもっと!」といった具体的な新PB企画の名称や、アベイル・バースデイといった事業セグメントごとの数値まで踏み込んで報じており、商品戦略や事業構造の詳細を知るうえで参考になります。
これら複数の報道を合わせて読むと、単に増収増益だったという結果だけでなく、その裏にある商品戦略、販促戦略、そして資本政策まで含めた、しまむらという企業の経営の姿が見えてきます。
今後の焦点は天候耐性とコスト改革の持続性、8月の中間決算に注目
今回の決算内容を踏まえると、今後の注目点は大きく4つに整理できます。第一に、天候要因への耐性です。6月度の既存店売上高が前年同月を下回った点が示す通り、天候不順は依然として業績変動の主要因であり続けています。機能性PB商品による需要の底上げがどこまで天候リスクを吸収できるかが、通期業績を左右します。
第二に、コスト構造改革の持続性です。紙チラシ削減や社内スタジオ活用によるコンテンツ内製化は、今回の決算で利益率改善に大きく貢献しました。この取り組みが一過性のものではなく、継続的な収益体質の強化につながるかどうかが問われます。
第三に、中期経営計画の進捗です。都市部出店の強化や、アベイル・バースデイといった非しまむら事業の収益性向上など、複数事業を通じた成長ドライバーの確立が計画通りに進むかどうかは、2027年2月期以降の企業価値評価に直結するテーマになります。
第四に、EC事業と実店舗の相乗効果です。EC限定商品の拡充やインフルエンサーコラボによる話題化が、実店舗への送客や新規顧客の獲得にどこまでつながるか。デジタルとリアルを組み合わせた販売戦略の深化度合いも、今後の成長ペースを見極めるうえで見逃せないポイントです。
しまむらが発表した2026年3~5月期の連結決算は、純利益が前年同期比19.0%増の128億5700万円となり、この時期として過去最高、かつ3年連続の最高益達成という好内容でした。売上高の伸び以上に利益が拡大した背景には、機能性を訴求するPB商品やキャラクターコラボ商品の好調、インフルエンサーを活用した販促施策、紙チラシ削減など広告宣伝費の効率化によるコスト構造の改善がありました。株式市場もこの内容を好感し、決算発表後に株価は一時5%近く上昇しています。
一方で、6月度の既存店売上高が前年実績を下回るなど天候要因による業績のブレは依然として存在し、会社側も2027年2月期の通期業績予想を据え置く慎重な姿勢を維持しています。中期経営計画「ネクスト・チャレンジ」のもと、しまむらは商品開発力の強化、デジタルやSNSを活用した販促の高度化、都市部出店を含む事業拡大に取り組んでおり、今回の好決算はその戦略が着実に成果を上げ始めていることを示す材料と言えるでしょう。8月に公表される中間決算の内容や、9月以降本格化する秋冬商戦の動向、そして中期経営計画で掲げる施策の進捗を通じて、この好調な流れが通期を通じて持続するかどうかが焦点になります。









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