ワークマンのファン付きウエアは2900円で機能性と低価格を両立

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ワークマンのファン付きウエアは2900円で機能性と低価格を両立

ワークマンが2026年春夏シーズンに向けて売り出した新しいファン付きウエアは、本体価格が税込2900円に抑えられている点が最大の特徴です。商品名は「WindCore 耐久撥水×消臭シェルベスト」で、ファンとバッテリーを別売りにすることで本体価格を抑えつつ、耐久撥水や制菌・消臭といった機能を搭載しています。これまで建設現場や工場で働く人向けというイメージが強かった空調服を、通勤やレジャーでも違和感なく着られるデザインに仕立て直した点も見逃せません。背景には、猛暑が常態化する中で熱中症対策への関心が一般消費者にも広がっているという事情があります。この記事では、2900円のベストが生まれた経緯や上位モデルの機能、競合各社との価格差について整理していきます。

ワークマンのファン付きウエアは2900円で機能性と低価格を両立
目次

ワークマンのWindCoreベストは2900円で1107店に並ぶ

ワークマンは、作業服を扱う「WORKMAN Plus」や「ワークマン」など969店と、作業服を扱わない「Workman Colors」や「#ワークマン女子」138店を合わせて、全国1107店舗を展開しています。今回投入したWindCoreベストは、この店舗網を通じて2026年春夏シーズンの商品として店頭に並んでいます。

ワークマンの広報担当者は、ハンディファンの普及で熱中症対策への意識が高まる中、プロ職人以外にもファン付きウエアの認知が広まりつつあると説明しています。建設現場や工場で働く人が中心だった市場に、一般消費者という新しい客層が加わりつつあると見て、今回の新商品投入に踏み切った格好です。

WindCoreベストは、耐久撥水や制菌・消臭機能を備えているほか、ファンを取り付ける穴を目立たせずに着用できる仕様を採用しています。従来のファン付きウエアは作業着然としたデザインでファンの取り付け穴も目立つものが多かったのですが、今回はシンプルなデザインにまとめることで、作業現場以外の日常シーンでも使いやすくしたといいます。

スタンダードとアーバンでサイズ展開が異なる

WindCoreベストは「スタンダードタイプ」と「アーバンタイプ」の2タイプで展開されています。スタンダードタイプはカモフラやイエロー、MIXネイビー、ダークグリーンなど複数カラーを揃え、サイズはMからLLまでの対応です。アーバンタイプはブラック一色で、サイズはSから4Lまでと幅広く展開されています。

いずれのタイプも、耐久撥水や制菌・消臭に加えて、WINDアジャスターやフード着脱式、2WAYスタイル、Dカン、保冷剤ポケットといった工夫が盛り込まれており、シーンに応じて使い分けられる作りになっています。紹介記事では「2つのファンから風が送れて涼しい」「3タイプから選べて釣りやレジャーにぴったり」といった評価も紹介されており、夏場のアウトドア用途での支持もうかがえます。

4900円のXShelterジャケットは袖を外して冷却ネックガードになる

ワークマンが同時に投入したのが、最上位モデルの「XShelter 暑熱α コンバーチブルファンジャケット」です。価格は税込4900円で、バッテリーは別売りとなっています。遮熱やUVカット、近赤外線カット、吸水速乾、透湿など、暑さ対策に特化した機能を数多く搭載しているのが特徴です。

チタン混紡糸を生地の外側に用いることで紫外線や近赤外線の影響を軽減し、乾く際の気化熱で涼感を生み出しつつ、濡れた状態でも冷感が持続する設計になっています。フードを完全に閉じた状態でもファンを使用できる仕様は珍しく、頭部までガードしながら送風できる点も特徴です。視認性を高めるドット状の反射仕様や、裾のアジャスターも備えています。

袖を取り外せる「コンバーチブル」仕様も採用しており、外した袖は濡らして首に巻けば冷却ネックガードとして活用できます。暑さの度合いや利用シーンに応じてベストにもジャケットにも切り替えられる柔軟性が売りで、ワークマンはこのXShelterシリーズを暑熱リスク軽減ウエアと位置づけています。気温45度級の暑さを想定したウエア開発にも取り組んでおり、全顔UVカット仕様のパーカーなど女性向けアイテムも含めてラインアップを広げています。

発表会で公開された直冷ベストは冷却プレートを7カ所に増設

WindCoreベストとXShelterジャケットは、単発の新商品ではなく、ワークマンが4月に東京国際フォーラムで開催した「26年猛暑対策新製品発表会」で公開したラインアップの一部です。発表会では、風量を増強したファン付きウエアや、独自開発の断熱素材XShelterを用いた暑熱軽減ウエアに加えて、前年に「不審者パーカー」の愛称でSNSを中心に話題となったフルフェイスガード仕様の女性用UVカットウエアの2026年モデルも披露されました。この不審者パーカーは、前年の約20倍の生産量を確保したにもかかわらず、それでも品薄になるほどの人気だったといいます。

さらに発表会では、東レの通気・遮熱機能素材を用いることで気温45度級の暑さにも対応できるウエアや、半導体を使った直冷方式のベストも公開されました。この直冷ベストは、表面温度がマイナス5度まで下がる冷却プレートを昨年の5カ所から7カ所に増やしており、45度を超える災害級の酷暑にも耐えうる設計を目指しているといいます。ワークマンはこうした新製品群を通じて、プロの職人向けだけでなく一般消費者の暑熱対策ニーズも幅広く取り込もうとする姿勢を鮮明にしています。2900円のWindCoreベストは、このラインアップの入り口として、価格の手頃さで新規顧客を呼び込む役割を担っているといえそうです。

空調服市場は2018年の猛暑を境に拡大が続く

ワークマンがこのタイミングで日常向けファン付きウエアに本腰を入れる背景には、空調服市場そのものの拡大があります。空調服やEFウエアの市場は出荷金額ベースで拡大を続けており、2017年から販売数量が大きく伸び始め、2018年の記録的な猛暑が普及の追い風になったとされています。その後も気候変動や熱中症対策への関心の高まりを背景に、市場は年々広がりを見せています。

気象関連の予測によると、2026年も40度を超える極端な高温が観測される地点は、過去10年平均並みかそれ以上になる可能性があるといいます。2023年から2025年にかけて相次いだ記録的な猛暑に匹敵する暑さになる可能性もあり、猛暑が当たり前になりつつある状況が、ファン付きウエアを作業現場だけのものではなく、通勤や日常生活の必需品へと押し上げつつあります。

もともと空調服は建設現場や工場、屋外作業に従事するプロの職人向けの製品として普及してきましたが、近年はハンディファンの一般家庭への普及と歩調を合わせる形で、一般消費者の間でも涼を取る道具としての認知が広がっています。ワークマンが日常使いを意識したデザインと2900円という価格でファン付きウエアを投入した背景には、こうした市場構造の変化を捉える狙いがあったといえます。

ファン付きウエアが涼しいのは気化熱を人為的に強めるから

ファン付きウエアの効果を理解するうえで欠かせないのが気化熱という現象です。人間の体には、脳を司令塔とする温度調整機能が備わっています。皮膚が温度センサーの役割を果たし、体温が上昇すると脳からの指令で汗腺から汗が分泌されます。この汗が肌の表面で蒸発する際、周囲の熱を奪い取ります。これが気化熱と呼ばれる現象で、人間にもともと備わっている冷却の仕組みです。

ファン付きウエアは、この仕組みを人為的に強く働かせるための道具といえます。服の背中側などに取り付けた2つのファンから外気を取り込み、ウエアの内側で風を循環させることで、かいた汗を素早く蒸発させます。汗が瞬時に気化することで気化熱の効果が最大化され、体感温度を大きく下げられるという仕組みです。冷却効果は気温と湿度の組み合わせによって左右され、湿度が低い環境ほど涼しさを実感しやすいとされています。

ワークマンのWindCoreベストやXShelterジャケットも、この基本原理を踏まえたうえで、耐久撥水性や透湿性、遮熱性といった付加機能を組み合わせることで、単なる送風にとどまらない快適性を追求した商品です。

2025年の熱中症搬送は10万510人で統計開始以来初の10万人超え

ワークマンがファン付きウエアの日常展開に踏み切った背景には、2025年に更新された熱中症関連の統計も無関係ではないとみられます。総務省消防庁のまとめによると、2025年5月から9月にかけて全国で熱中症により救急搬送された人数は10万510人にのぼり、2008年の統計開始以来、初めて10万人を超えました。前年から2932人増加しており、月平均気温が過去最高となった6月は搬送者数が1万7229人と、月別でも過去最多を記録しています。

職場における熱中症の被害も深刻です。厚生労働省の集計では、2025年に職場で熱中症により死傷した人は1803人にのぼり、2024年比で約43%増加、統計を取り始めた2005年以降で最多となりました。気象庁によると、2025年夏の6月から8月にかけての平均気温の平年差はプラス2.36度と統計開始以来最高を記録し、最高気温35度以上の猛暑日を観測した地点数の積算は9385地点と、2010年以降で最多となっています。

こうした記録的な暑さと被害の拡大が、企業や消費者の暑熱対策への意識を一段と高めています。ワークマンが2900円という手に取りやすい価格でファン付きウエアを投入した背景には、プロの現場だけでなく通勤や日常生活を送る一般消費者にとっても、熱中症対策がもはや他人事ではなくなっているという事情があるとみられます。

空調服市場はサンエスとバートルが強く2026年は30V化が進む

ファン付きウエア市場は、ワークマンにとって決して更地ではありません。プロ向け市場ではすでに、空調服の元祖にあたる株式会社空調服や、大手専業メーカーのサンエス、バートルといったブランドが強固なシェアを築いており、なかでもサンエスは3割から4割程度のシェアを握るとされる最大手です。各社は年々性能を高めており、2026年モデルではバートルが京セラ製のバッテリーとファンを採用し、最大30ボルトの高出力バッテリーを投入するなど、業界全体で高電圧化と高出力化が進んでいます。バートルの空調服は人気が高く、毎年7月上旬には多くの販売店で在庫が枯渇するほどだといいます。

プロ向け市場ではすでに専業メーカー同士の性能競争が激しくなっています。ワークマンが日常向けやエントリー向けの2900円という価格帯で勝負を仕掛けたのは、専業メーカーと性能面で真っ向勝負を挑むのではなく、これまで空調服を持っていなかった一般消費者という新しい客層を、価格の手軽さで開拓しようとする狙いがあるとみられます。ファンやバッテリーを別売りにすることで本体価格を抑え、必要な人が必要な性能のファンユニットを別途選べるようにしている点も、専業メーカーの高機能・高価格帯モデルとは一線を画す戦略です。

青山商事の空調ウエアは17490円でビジネス向けに特化

ファン付きウエア市場には、家電メーカーやアパレルメーカーなど異業種からの参入が相次いでいます。中でも対照的な動きを見せているのが、スーツ販売大手の青山商事です。同社は「洋服の青山」ブランドから、ビジネスパーソン向けの空調ウエアを新たに発売しました。

青山商事の空調ウエアは、シャツの上に羽織るシャツアウター型のデザインを採用し、スーツやスラックスにも馴染むよう作り込まれている点が特徴です。ファン稼働時に生地が膨らみすぎないよう配慮されたシルエットで、作業着然としたデザインを避け、通勤や外回りといったビジネスシーンでもそのまま着用できることを狙っています。付属のモバイルバッテリーは約165グラム、ファンは1つあたり約95グラムと軽量に抑えられており、風量は3段階で調整可能です。連続稼働時間は強モードで約3.5時間、弱モードでは最大約10時間とされています。サイズはM、L、LLの3種類、カラーはネイビーとチャコールグレーの2色を用意しています。

ただし価格は税込1万7490円と、ワークマンのWindCoreベストの6倍近い水準です。青山商事は長年培ってきたアパレルとしてのノウハウを生かし、ファッション軸で企画することで、ビジネスシーンに馴染むデザイン性を追求した商品と位置づけています。一方のワークマンは、現場で鍛え上げてきた機能性と低価格を武器に、より幅広い層への普及を狙っています。同じ日常向けファン付きウエアというテーマに対して、価格帯もアプローチも対照的な2社の商品が同時期に登場したことは、この市場がそれだけ有望視されていることの裏返しともいえます。

3社の商品を価格で比べると、次のようになります。

商品名価格(税込)展開企業
WindCore 耐久撥水×消臭シェルベスト2900円ワークマン
XShelter 暑熱α コンバーチブルファンジャケット4900円ワークマン
空調ウエア(シャツアウター型)17490円青山商事(洋服の青山)

ワークマンの2900円はPB比率68.5%の調達力で実現

ワークマンの広報担当者は、自社の強みについて、風量だけでなくプロの職人向けウエアで培った機能を数多く搭載していると語っています。耐久撥水や制菌・消臭などの機能に加え、街中でも着やすい工夫や、ワークマンならではの価格を実現していることが強みだといいます。単に安いだけでなく、現場仕事で鍛えられた実用性の高い機能を一般消費者にも手が届く価格で提供できる点が、他社との差別化要因になっているというわけです。

この背景には、ワークマンが2014年ごろから進めてきた客層拡大戦略があります。もともと建設・土木・製造業などで働く人々を主要顧客としてきた同社は、若手の職人が着たいと思えるようなスタイリッシュな作業服を機能性ウエアとして再定義し、アウトドアやスポーツ市場からも支持を獲得してきました。プロ向けと一般向けで同じ商品を扱うハイブリッド型の店舗「ワークマンプラス」を展開したことで、従来型店舗の2倍を超える売上を生み出す業態へと成長した実績もあります。

自社工場を持たず、すべての商品を海外生産に委ねることで、値引きなしのエブリデー・ロー・プライスを実現しているのも特徴です。プライベートブランド比率は直近の決算期でおよそ68.5%に達しており、耐久性や防風防水性、透湿性、遮熱性、速乾性、ストレッチ性、接触冷感、抗菌性といった多様な機能を、低価格の自社企画商品として展開できる体制を築いています。今回のファン付きウエアも、こうした長年の商品開発力とコスト構造の延長線上にある商品です。

実際、ワークマンの低価格戦略は今回のファン付きウエアに限った話ではありません。2025年に累計80万枚を突破した「マッピングラグラン半袖Tシャツ」も、その象徴的な例です。価格は580円で、一般的なメッシュ生地とは異なる独自のデザインメッシュを採用することで通気性とデザイン性を両立させ、従来の作業着ユーザーだけでなくスポーツ用途の消費者からも支持を集めました。580円という価格を維持できる背景には、大量生産によるコスト低減に加えて、取引先のアパレル工場が手薄になる閑散期に発注することや、長年培ってきた工場との信頼関係により、原材料価格の高騰下でも価格転嫁を最小限に抑えられる独自の調達体制があります。今回のファン付きウエアも、こうした調達力とコスト構造を土台にして実現した価格設定と考えられます。

1500店体制を見据えワークマンは膨らみを抑えた次モデルを検討

ワークマンは、プロ向けの店舗フォーマットである「ワークマン」、一般消費者向けの「ワークマンプラス」、女性をターゲットにした「#ワークマン女子」というように、店舗フォーマットを段階的に広げてきました。今後は国内1500店体制を見据え、プロ向け200店、ワークマンプラス900店、ワークマンカラーズを含む400店という構成を目指しているとされています。ファン付きウエアの日常市場への展開も、こうした客層拡大戦略の一環として位置づけられます。

ワークマンの広報担当者は今後の展開について、暑い中で働くプロ向けの商品に加え、普段使いしやすいデザインや膨らみを抑えた商品の開発を進めていきたいと述べています。ファンによる送風で生地が膨らんでしまう見た目の問題は、ファン付きウエアが日常着として広がるうえでの大きなハードルの一つであり、これを解消できるデザインが今後の商品開発の焦点になるとみられます。

猛暑の長期化に伴い、ファン付きウエアは作業現場だけでなく、通勤や日常生活の中にも着実に広がりつつあります。ワークマンのように機能性と価格競争力を武器にする企業もあれば、青山商事のようにファッション性やビジネスシーンへの適合性を軸にする企業もあり、各社が異なるアプローチで市場開拓を進めている状況です。空調服やファン付きウエアの市場規模は今後も拡大が見込まれており、2035年にかけて年平均7%台の成長率で伸びていくとの見方もあります。

今回ワークマンが打ち出した2900円のWindCoreシェルベストと、4900円のXShelter暑熱αコンバーチブルファンジャケットは、いずれもプロが認める機能性を誰もが手に取れる価格で提供するという同社の姿勢を反映した商品です。猛暑が前提となりつつある中、機能性とデザイン性、価格という3つの軸でどこまで差別化を図れるかが、今後のファン付きウエア市場における各社の競争力を左右していくことになるでしょう。

ワークマンの低価格戦略は他ジャンルにも波及しており、リカバリーウェア市場の価格破壊と需要増加の動向をワークマンが仕掛けた価格破壊でリカバリーウェア需要増が加速した11月動向で詳しく解説しています。

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