ビームスの新ブランド「マアイ」誕生、間合いをコンセプトに9月19日始動

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ビームスの新ブランド「マアイ」誕生、間合いをコンセプトに9月19日始動

ビームスは2026年9月19日、大人の女性に向けた新ブランド「マアイ(MAAI)」をローンチします。ブランドコンセプトは「リラックス ベーシック」で、日本語の「間合い」という言葉から名付けられました。創業50周年を迎えたビームスが、次の50年を見据えて打ち出す新しいウィメンズ戦略の第一弾です。ローンチに合わせて、東京の富ヶ谷では9月19日から23日まで、初のポップアップショップ「マアイ マルシェ」が開かれます。この記事では、マアイのブランドコンセプトやモノ作りのこだわり、ポップアップショップの詳細、そしてビームスの経営戦略における位置づけまで、わかっている情報を整理してお伝えします。

ビームス新ブランド マアイのリラックスベーシックなスタイル
目次

ビームス新ブランド「マアイ」は2026年9月19日にローンチ

マアイは、上質でタイムレスな作りを土台にしながら、大人の余裕と程よいトレンド感をミックスした「リラックス ベーシック」というコンセプトを掲げるブランドです。着るほどに愛着が増していく「育てる一着」と、抜け感を備えた新しいベーシックアイテムを提案します。

ライフスタイルが変わり続ける大人の女性がメインターゲットで、無理なく着続けられるワードローブを目指しているのが特徴です。トレンドを追いかけるだけの服作りではなく、時代が変わっても長く着続けられるタイムレスな価値を重視する姿勢は、創業50周年を迎えたビームスが次の50年に向けて出した一つの答えとも言えるでしょう。

ブランド名の由来は日本の美意識「間合い」

マアイという名前は、日本人が古くから大切にしてきた「間合い」という言葉に由来します。「主張しすぎないデザイン」「まとう人の雰囲気とともに完成する」「力みすぎず、リラックスしすぎない」といった、絶妙な間の感覚を服作りに落とし込み、着る人自身の佇まいを引き立てることを目指しています。

間合いはもともと、剣道や合気道といった武道の世界で使われてきた言葉です。相手との物理的な距離だけでなく、その距離を詰めるのにかかる時間や攻撃の角度、タイミングまで含めた総合的な感覚を指すとされ、自分にとって最も力を発揮できる間合いを保ちながら、相手には間合いを保たせないようにすることが重要とされています。緊張感を伴う対峙の場面で磨かれてきたこの感覚を、ファッションという穏やかな文脈に置き換えた点に、マアイというブランド名の面白さがあります。

服との間合い、そして服を通じて生まれる人と人との間合いまで意識したものづくりは、単なるベーシックアイテムの提案にとどまりません。着る人の個性や気分、その日のシーンに応じて服が柔軟に寄り添い、着る人自身が主役でいられる余白をデザインに持たせる発想に近いと言えます。

間合いという美意識を表す図解

尾州のウールとビンテージ調デニムで「育てる一着」を目指す

マアイのモノ作りでは、素材やディテールに強いこだわりが込められています。愛知県一宮市を中心とする尾州産地で開発したオリジナルファブリックをはじめ、ビンテージのような風合いを追求したデニムを採用し、経年変化を楽しめる一着としての価値を高めています。

尾州は、イタリアの「ビエラ」、イギリスの「ハダースフィールド」と並んで世界三大ウール産地の一つに数えられる、日本最大の毛織物産地です。国内で生産される毛織物の約8割がこの尾州産地で作られているとされ、木曽川や長良川、揖斐川という豊かな水源に恵まれた地域特有の湿度が、ウールの糸作りに適していたことから発展しました。糸から織物になるまでの工程を同じ地域内で分業と協業する体制が根付いており、企画や織り・編みを担う企業は親機、その協力工場は子機と呼ばれ、紡績や染色、補修、整理加工といった工程を専門に請け負う工場も点在しています。ウールの糸は他の天然繊維や合成繊維に比べて織っている途中に切れやすいため、補修工場が重要な役割を担っているとされ、こうした細やかな分業体制こそが尾州産地の競争力を支えているとされています。マアイがこうした国内屈指の産地でオリジナルファブリックを開発している点は、素材の品質を重視するブランドの姿勢を裏付けています。

デニムについても触れておきます。デニムはもともとジーンズ好きの間で育てるアイテムとして親しまれてきた素材で、履くほどに色落ちが進み、レザーのようなエイジングを楽しめる点が魅力とされてきました。自分で長い時間をかけて色落ちさせていく楽しみ方がある一方、近年はレーザー加工や緻密なウォッシュ、手作業を組み合わせた加工技術によって、最初から深みのあるビンテージ風の風合いを再現するデニムも広く支持されています。マアイが採用するビンテージ調のデニムも、着る前から育てる一着としての説得力を備えた素材と言えそうです。

カラーパレットはブラックを避けグレーを軸に

マアイのカラーパレットは、極力ブラックを使わない方針を取っているのが大きな特徴です。光や素材によって表情を変えるグレーを軸に、繊細なグラデーションを表現することで、主張しすぎない中にも奥行きのある色使いを実現しています。

ファッションにおけるグレーは中立的な色とされ、明るいグレーは柔らかく優しい雰囲気を、暗いグレーは重厚感や高級感を演出するなど、濃淡によって表情が大きく変わります。強く自己主張することなく、装い全体を穏やかに整えながら知的で落ち着いた印象を加えられる点も特徴です。ベージュのような中間色とは一体感を、ネイビーのような寒色とは端正で品格のある組み合わせを作りやすく、どんな色とも相性の良い万能なベースカラーでもあります。黒のように強い主張を持たず、かといって存在感を失うわけでもないグレーを軸に据えたことは、マアイが目指す主張しすぎないデザインを色彩の面から支える選択と言えるのではないでしょうか。

ブラックを避けグレーを軸にしたカラーパレット

ブランドディレクターは塚本知恵氏、アシスタントに佐藤美樹氏が就任

マアイのブランドディレクターには、ビームスのウィメンズレーベルで経験を重ねてきた塚本知恵氏が就任しました。デミルクス ビームスをはじめ、エッフェ ビームスやビーミング バイ ビームスなど、ビームスのウィメンズカテゴリーで長年経験を積んできた人物です。長年培ってきた知見を活かし、マアイのデザインやワードローブ全体の方向性を統括する立場にあります。

アシスタントディレクターには、店舗での豊富な販売経験を持つ佐藤美樹氏が抜擢されました。現場で培ってきた感性が評価されての起用で、顧客と向き合う売り場の視点をブランド作りに反映できる点は、マアイが企画部発信だけのブランドではなく、現場感覚も大切にしたブランドであることを示しています。

ポップアップ「マアイ マルシェ」は9月19日から23日まで富ヶ谷で開催

ブランドのローンチに合わせて、2026年9月19日の土曜日から23日の水曜日までの5日間、東京の富ヶ谷で初のポップアップショップ「マアイ マルシェ」が開催されます。ファーストコレクションを披露するだけでなく、ブランドの美意識や世界観を体験できるコンテンツが展開される予定です。

企画のコンセプトには、ヨーロッパの蚤の市のような偶然の出合いがイメージされています。洋服だけでスタイルを完成させるのではなく、モノや人との出会いを通じて、自分だけのスタイルを見つけていく場を目指すとのことです。ヨーロッパの蚤の市は、個人や小規模な業者が古い家具や骨董品、古着などを持ち寄って販売する市場で、掘り出し物を探す人やアンティーク愛好家に長く親しまれてきた文化です。決まった商品を効率よく買うのではなく、会場を歩き回りながら思いがけない一点に出合う体験そのものに価値がある点は、着る人自身が主役となって自分だけの着こなしを見つけていくマアイ マルシェの企画意図と重なります。

開催地の富ヶ谷は、渋谷駅の西側に広がる奥渋谷と呼ばれるエリアの一角にあります。神山町や宇田川町とともに2010年頃からその呼び名が定着した比較的新しいエリアで、渋谷や新宿という都心に近い立地でありながら、隣接する代々木公園の緑を身近に感じられる落ち着いた街並みが特徴です。賑やかな渋谷の中心街から少し歩くだけで、路地裏に佇むおしゃれな雑貨店やブックカフェ、こだわりのセレクトショップが点在する隠れ家的な雰囲気のエリアとして知られており、マアイが目指す主張しすぎない世界観とも重なる部分が大きいと言えます。

奥渋谷にはほかにも、専門性の高いコーヒー店やチーズショップ、ライフスタイルを提案するタイプのセレクトショップが点在しており、松濤美術館のような文化施設が周辺にあることも街の個性を支えているとされています。大型商業施設が並ぶ渋谷駅前とは異なり、個人店やコンセプトショップが集まる街並みが、ファッションに敏感な人たちから支持を集めてきたエリアです。マアイ マルシェがこうした街で開かれることは、ブランドが目指す隠れ家的な出合いの体験と、街そのものが持つ空気感を重ね合わせる狙いがあるとも読み取れます。

10月1日からビームス店舗でも販売スタート

ポップアップショップ「マアイ マルシェ」が終了した後の2026年10月1日の木曜日からは、ビームスの店舗でもマアイの販売が始まります。ポップアップ限定の体験を経てから通常店舗での展開に移る流れは、蚤の市のような偶然の出合いをまず提供し、その後で日常的な買い物の場に落とし込んでいく構成とも読み取れます。

ビームスは2026年2月に創業50周年、コミュニティ戦略の一環としてマアイを展開

マアイの誕生は、単発の新ブランド立ち上げではありません。ビームスが2026年2月に迎えた創業50年という節目と、それに伴う新たなウィメンズ戦略の一環として位置づけられています。1976年に創業したビームスは、ファッションだけでなくライフスタイル全般を提案するセレクトショップとして、国内外で約150店舗を展開する規模に成長してきました。

設楽洋社長は2024年、企業理念を「ハッピー ライフ ソリューション カンパニー」から「ハッピー ライフ ソリューション コミュニティーズ」へと改めています。新しい理念のもとでは、社員だけでなく取引先やブランドのブレーン、そして最終的には顧客までも含めたコミュニティを創造していくことが掲げられており、国内のファッション市場が縮小傾向にある中、個性豊かな社員と消費者のコミュニティーをつくることで成長を目指すとしています。2026年度には米国への初出店も計画されているとのことです。

こうした流れの中で見ると、マアイは単なる新商品ラインの追加ではなく、ビームスが次の50年に向けて掲げるコミュニティ戦略を体現する存在の一つと位置づけられます。マアイ マルシェが単なる販売の場ではなく、モノや人との出会いを通して自分だけのスタイルを見つける場として企画されているのも、この経営理念と地続きの発想と言えそうです。

ターゲットは都会で生活する30代女性

マアイがメインターゲットとするのは、ライフスタイルが変化していく大人の女性です。より具体的には、都会で生活する30代の女性が想定されています。仕事や家庭、趣味など、年齢を重ねる中でライフステージが変わっていっても無理なく着続けられる服を求める層に向けたブランドと言えます。

30代の服選びは、量より質を重視するフェーズに入るとされます。肌に触れる面積が広いアイテムや日常的に使う頻度の高いアイテムほど、価格よりも素材や仕立ての良さで選ぶ傾向が強まると言われており、自分の体型に心地よくフィットするサイズを選び、どこか一箇所に身体のラインに沿うディテールを取り入れることで、清潔感と女性らしさを両立させる着こなしが支持されているという指摘もあります。マアイが尾州のオリジナルファブリックやビンテージ感のあるデニムなど、素材そのものの質にこだわりながら主張しすぎないデザインを打ち出している方向性は、こうした30代女性の消費傾向と重なるものです。

30代のワードローブ作りでは、少ない枚数を組み合わせて着回す少数精鋭のスタイルが支持される傾向にあるとされています。20代までとは色味や素材、丈感が異なる定番アイテムへとランクアップさせたいと考える人も多く、なかでもデニムは体型や年齢に合うデザインへの見直しが意識されやすいアイテムの一つとされます。マアイが打ち出すビンテージ調のデニムや、尾州のウールを使ったベーシックアイテムは、こうした定番アイテムのランクアップを求める30代女性の需要とも噛み合う内容と言えそうです。

「ビームス」を冠さない独立ブランドという挑戦

マアイを巡るもう一つの特徴は、ブランド名に「ビームス」を冠していない点です。ブランドディレクターの塚本知恵氏はこの点について、「ビームスの名前はつけていないが、そこも新しい挑戦の一つ。ウィメンズブランドとして先入観なく、幅広い方に届けたい」とコメントしています。

塚本氏はデミルクス ビームスをはじめ、エッフェ ビームスやビーミング バイ ビームスなど、ビームスのウィメンズカテゴリーで長年経験を積んできた人物です。その知見を活かしながらも、あえてビームスの名前を前面に出さない独立ブランドとしてマアイを立ち上げた点は、母体であるビームスへの信頼を土台にしつつ、新しい顧客層に先入観なく届けたいという狙いの表れと考えられます。ブランドの世界観やラインナップ、展開店舗などの詳細情報は、今後順次発表される予定です。

セレクトショップ業界は独自ブランド開発に軸足を移しつつある

マアイの立ち上げは、ビームス一社の事情だけでなく、セレクトショップ業界全体の変化とも重なっています。国内のセレクトショップ業界では、売り上げが伸び悩む一方で販管費が膨らみ、これまで利益を支えてきたネット通販の伸びにも限界が見え始めているとされています。セレクトチェーンの製造小売化と、百貨店の自主セレクト売り場の縮小が重なったことで、他社ブランドを仕入れて売るという従来の販売モデルが機能しにくくなっているのが背景です。

こうした環境の変化を受けて、セレクトショップの側が自らロゴやラベルを立ち上げ、独自ブランドとして商品を展開する動きが広がっています。仕入れ型のビジネスから、自社で企画から手がけるブランドビジネスへと軸足を移すことで、価格や在庫のコントロールを効かせやすくする狙いがあると考えられます。マアイも、ビームスというセレクトショップ本体が自ら手がける独立ブランドという点で、この業界的な流れに沿った動きと位置づけられます。

既存のウィメンズレーベルとマアイの違い

ビームスは1976年の創業以来、複数のウィメンズレーベルを育ててきました。1981年にはヨーロッパのクラシックをベースにしたモダンなスタンダードを提案する「インターナショナル ギャラリー ビームス」が、1984年にはビームス初のウィメンズレーベルとして「レイ ビームス」が誕生しています。現在展開されているレーベルとマアイの位置づけを整理すると、次のようになります。

レーベル名テイスト主なターゲット層
レイ ビームストレンドを押さえたヤングカジュアル若年層
デミルクス ビームスオフィスカジュアル働く女性
インターナショナル ギャラリー ビームスヨーロッパクラシック由来のキレイめスタイル30代以上のファッション感度が高い層
ビーミング バイ ビームス価格帯を抑えたシンプルなスタイル幅広い層
マアイリラックス ベーシック都会で生活する30代の女性

塚本知恵氏が経験を積んできたデミルクス ビームスやエッフェ ビームス、ビーミング バイ ビームスも、いずれもこうしたウィメンズレーベルの系譜に連なるものです。マアイは、約半世紀にわたるウィメンズ展開の蓄積の上に、あえてビームスの名前を冠さない独立ブランドとして新たに位置づけられた点で、これまでのレーベル群とは一線を画す試みと言えます。

ビームスの5つのウィメンズレーベル比較

マアイについてよくある疑問

マアイはいつから買えるのかという疑問には、二段階の答えがあります。まず9月19日から23日まで、富ヶ谷のポップアップショップ「マアイ マルシェ」でファーストコレクションが披露され、その後10月1日からビームスの店舗でも購入できるようになります。

どこで買えるのかという点については、現時点でポップアップショップの開催地と、10月1日以降のビームス店舗での販売開始が分かっています。具体的な取り扱い店舗数や価格帯については、今のところ発表されていません。

なぜビームスの名前を前面に出さないのかという疑問については、ブランドディレクターの塚本知恵氏が先入観なく幅広い層に届けたいという狙いをコメントで述べています。長年ビームスのウィメンズレーベルで培ってきた知見を土台にしながら、新しいブランドとして独立させたことが、その答えになりそうです。

創業50周年を迎えたビームスが打ち出す新しいウィメンズ戦略の第一弾として、マアイが今後どのような広がりを見せるのか、ポップアップショップと店舗展開の両方から注目していきたいところです。

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