古着の価格はなぜここまで高騰したのか、7つの理由を徹底整理

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古着の価格はなぜここまで高騰したのか、7つの理由を徹底整理

古着の価格が急激に高騰している理由は、フリマアプリの普及によって相場が誰の目にも見えるようになったことと、Z世代を中心とした転売行為の広がり、さらに円安や輸入コストの上昇が同時に重なっているためです。かつては掘り出し物を安く買えるのが古着の魅力でしたが、いまや人気アイテムには新品のブランド品と変わらない、あるいはそれ以上の値段がついています。SNSでは「古着が高すぎる」という嘆きが繰り返し話題になり、フリマアプリを開くと数年前なら千円台で買えた一着に数万円の値札がついていることも珍しくありません。ここでは、ニューヨークのヴィンテージショップオーナーの証言と市場データをもとに、古着の価格がここまで上がった背景を具体的な数字で整理していきます。

古着の価格はなぜここまで高騰したのか、7つの理由を徹底整理
目次

古着ワゴンには転売目的の客だけが押し寄せるようになった

古着屋のワゴンからは、掘り出し物を探す客が減り、転売目的の若者が主役になりました。ニューヨーク・ウィリアムズバーグで高級シルクドレス専門のショールームを構えるヴィンテージショップオーナー、ジャネル・ベストは、1990年代から古着屋のワゴンを漁ってきた人物です。当時、古着を買う行為には独特の偏見がつきまとっていて、「変わり者か、さもなくば貧乏人」としか見られていなかったと英紙ガーディアンの取材で振り返っています。彼女自身は完全に前者、つまり変わり者の側だったといいます。

きっかけは、自分が組んでいたバンドのステージ衣装を調達する必要があったことでした。2005年にオークションサイトのeBayでなんとなく転売を始めたのが転機となり、10年後にはフリーマーケットで自らの店を出すようになり、2023年にはニューヨークの自宅アパートに高級シルクドレス専門のショールームを構えるまでになった、いわば古着業界の成功者の一人です。

しかし、そんな彼女がほんの数年前まで通い詰めていた全米最大手のリサイクルショップ「グッドウィル」の店舗は、いまや様変わりしてしまったといいます。「当時の古着屋のワゴンは、宝の山でした」と語る彼女ですが、古着がSNSで一大ムーブメントになると、その古き良き時代は終わりを告げました。「地獄の門が開いたかのように、高校生たちが押し寄せてきたんです。ひとつのワゴンに大勢の若者が群がり、奪い合いを演じる。誰も彼もが突然、転売ヤーになりました」と彼女は嘆きます。さらに印象的なのは、若い世代の目利きの変化です。いまの若い子たちは自分の直感で何が良いかを見極めるのではなく、スマホを片手に、それがネットでいくらで売れるかを検索しているだけだと彼女は指摘します。かつての古着ハンティングは自分自身の審美眼を頼りに掘る行為でしたが、いまやスマートフォンひとつでその場で市場価格を調べられる時代になり、掘り出し物という概念そのものが揺らぎ始めています。

フリマアプリが古着の相場を誰にでも見える状態にした

古着の価格が上がった最大の技術的な理由は、フリマアプリやオンライン査定プラットフォームの普及にあります。デポップやポッシュマークといったフリマアプリ、リアルリアルなどのオンライン査定プラットフォームの登場により、中古品の売買はかつてないほど一般的なものになりました。

これらのプラットフォームが変えたのは、単に売買の場が増えたということだけではありません。決定的だったのは、価格の透明化です。かつて古着の値段は、店主の目利きや経験、あるいは客との駆け引きによって決まる不透明なものでした。しかしフリマアプリの普及によって、誰もが同じアイテムがいくらで取引されているかを瞬時に検索できるようになりました。

日本国内でも同じ動きが起きています。SNSやフリマアプリで相場が見えやすくなり、フリマアプリや海外マーケットで取引価格が把握できるようになったことで、店側も個人も相場を参照できるようになりました。その結果、人気品は安売りしにくくなっています。情報の非対称性が薄れたことで、掘り出し物を安く仕入れて高く売るという、古着ビジネスの醍醐味そのものが失われつつあります。誰もがスマホで相場を調べられる以上、売り手側も強気の価格設定をせざるを得なくなり、これが古着価格の全体的な底上げにつながっているのです。

こうした相場の可視化はグローバルなレベルでも進行しています。相場が世界で繋がると、日本だけが安いという状況は長く続きにくくなります。市場が国境を越えて大きくなるほど取引は活発になり、人気カテゴリーの価格は上がりやすくなります。ヴィンテージのリーバイスやチャンピオンといった人気アイテムが、日本国内だけでなく世界中のバイヤーによって取り合いになる現象は、このグローバルな相場の一体化を表しています。

TikTokのハウル動画とZ世代の転売行為が需要を押し上げた

古着ブームの担い手として真っ先に語られるのが、Z世代の存在です。TikTokは、10代の少女たちが格安で手に入れた大量の古着を披露する購入品紹介動画で溢れています。ハウル動画とは、こうした購入品を動画で披露するコンテンツのことで、若い世代のあいだで古着への関心を爆発的に高める起爆剤になりました。

その一方で、ファッション界の頂点に立つ富裕層もまた、自らのステータスや審美眼を誇示するために希少なヴィンテージを身にまとうようになっています。古着は、安く掘り出す層と稀少性を誇示する層という、対照的な二つの需要が同時に押し寄せる市場になっているわけです。

この爆発的な人気は、上の世代よりも環境意識が高いZ世代によるものと説明されることが多いです。ファストファッションによる環境負荷への問題意識から、サステナブルな選択肢として古着を選ぶ若者は増えています。ただ、同時に見過ごせないのが、転売を目的とした購買行動の広がりです。ジャネル・ベストが指摘したように、いまや古着ショップのワゴンに群がる若者たちの多くは、自分の好みで服を選ぶのではなく、ネットでいくらで売れるかを基準に商品を漁っています。これは、一般消費者による小規模な転売ビジネスが古着市場の隅々にまで浸透していることを意味します。

日本でも同様の現象は顕著です。古着転売を副業やビジネスとして始める人は増加していて、月数千万円規模の売上を上げる事例も報じられています。フリマアプリの普及によって誰でも手軽にせどり的な転売行為に参入できるようになったことが、需要と供給のバランスを崩す一因になっています。仕入れ側に個人の転売ヤーが大量に参入すれば仕入れの競争は激化し、店舗側の仕入れコストも上昇します。それが最終的な販売価格に転嫁されるのは自然な流れです。

コロナ禍のオンライン宝探しが古着市場の参加人口を押し上げた

新型コロナウイルスの世界的流行は、古着の価格が高騰する決定的な転換点になりました。外出が制限され、スクリーンを見る時間が爆発的に増えるなかで、オンラインでの宝探しは、退屈な日常のなかで数少ない刺激的な娯楽になりました。実店舗に足を運べない代わりに、人々はフリマアプリやオンラインマーケットプレイスを延々とスクロールし、掘り出し物を探すという行為そのものに没入していきました。

この現象は、古着というモノの価値だけでなく、探すという行為自体が娯楽として定着したことを示しています。パンデミックが明けたあとも、この行動様式は消費習慣として残りました。結果として、古着市場への参加人口はパンデミック前と比べて格段に増加し、それが恒常的な需要増、ひいては価格上昇圧力として作用し続けています。在宅時間の増加は、自分らしさや個性を表現する手段としてのファッションへの関心も高めました。画一的な新品よりも、一点物としての価値を持つヴィンテージアイテムへの需要が、パンデミックを機に一段と強まったという見方もできるでしょう。

円安で古着の仕入れ値は10万円から14万円に跳ね上がる

供給側のコスト構造の変化も、古着の価格高騰を語るうえで欠かせません。特に日本においては、円安の進行が古着の仕入れ価格に直接的な影響を及ぼしています。日本への古着輸入量は近年増加傾向にありますが、それ以上に単価の上昇が目立ちます。2024年の日本への古着輸入量は前年比2.1%増の9,739トンで、1キログラムあたりの単価は1,320円と、2020年比で82%の上昇を記録しました。円安や世界的な需要増が、仕入れ段階のコストを押し上げていることを示す数字です。

海外のブランド品や古着は為替相場の影響を大きく受けます。1ドル100円のときに10万円で仕入れができていた商品は、円安が進んで1ドル140円になれば、同じ商品の仕入れ価格が14万円に跳ね上がる計算になります。渡航費や宿泊費、現地での仕入れ代金など、海外買い付けにかかるあらゆるコストが円安によって膨らんでおり、それが販売価格に転嫁されています。

世界的なインフレの進行も見逃せません。円安に加えて、日本とは比べものにならないスピードでインフレが進んでいる国は少なくありません。海外から服を仕入れる場合、現地の人件費や物流コストの上昇も、仕入れ値、ひいては販売価格を押し上げる要因になっています。加えて、ファストファッションの大量生産・大量消費が長年続いた結果、古着として長く使用に耐えうる高品質な衣類の供給そのものが先細りしています。上質な素材や丁寧な縫製で作られた、真にヴィンテージと呼べる衣類の絶対量が減少している一方で、それを求める需要は世界的に増加しています。需要と供給のギャップが広がれば価格が上昇するのは、経済の基本原則そのものです。

セカンドストリートなど大手リユース企業の参入で買取競争が激化した

個人の転売ヤーやフリマアプリの存在と並んで無視できないのが、大手企業による市場参入です。かつて古着は個人経営の小規模な専門店が中心となって扱う、ニッチな市場でした。しかし現在では状況が大きく変わっています。大手アパレル企業も自社の古着のみを販売する事業を展開するようになり、セカンドストリート、トレジャーファクトリー、ブックオフグループといった大手リユースチェーンが、買取・販売の両面で強い存在感を示すようになりました。これらの企業は全国規模の店舗網と資本力を武器に、古着の買取・査定・販売のプロセスを効率化し、市場の主要プレイヤーとして台頭しています。

大手企業の参入は、市場の透明性向上や取引の安全性向上に寄与する一方で、買取競争の激化という側面ももたらします。資本力のある企業が積極的に高値で買取を行うようになれば、個人店や小規模事業者もそれに対抗して買取価格を引き上げざるを得なくなります。この買取競争が仕入れコストの底上げにつながり、結果として店頭での販売価格にも反映されていく構造があります。

日本のファッションリユース市場は2024年に1兆2,800億円に達した

需給両面の変化を裏付けるように、日本国内のファッションリユース市場そのものが急速に拡大しています。矢野経済研究所は、2023年の日本国内のファッションリユース市場規模を1兆1,500億円と推計しており、前年比113.9%という大幅な成長でした。2024年もこの流れが続き、市場規模は1兆2,800億円(前年比111.3%)に達したと推計されています。

市場規模前年比
2022年(リユース市場全体)2兆8,976億円
2023年(ファッションリユース)1兆1,500億円113.9%
2024年(ファッションリユース)1兆2,800億円111.3%

この急成長の背景には、2021年以降の行動制限緩和に伴う経済活動の正常化に加え、フリマアプリの普及によるリユース利用者数の増加、そしてここまで見てきた古着ブームそのものが複合的に作用しています。国内のリユース市場全体は2022年時点で2兆8,976億円に達しており、2025年には3兆2,500億円に達するとみられていました。さらに長期的な視点では、衣料品のリセール市場規模は2030年までに約9兆円規模へと成長し、これはファストファッション市場全体の2倍に相当する規模になるという試算もあります。市場が拡大するということは、それだけ多くの買い手・売り手・事業者が参入するということでもあります。参入者が増えるほど人気アイテムをめぐる競争は激化し、価格は上昇圧力を受け続けます。

ヴィンテージリーバイス501は6年で価格が5倍になった

抽象的な要因の説明だけでは実感が湧きにくいので、具体的な数字を見てみます。古着の価格高騰の象徴としてよく引き合いに出されるのが、ヴィンテージのリーバイスとチャンピオンのリバースウィーブです。ヴィンテージリーバイス501は、いまや投資目的で購入されるほど世界的に人気が高く、取引価格が高騰し続けています。戦前から戦時中にかけて生産された大戦モデルと呼ばれるジーンズは、取引額が100万円を優に超えることも珍しくありません。かつては比較的人気の低かった3rdモデルでさえ、6年で5倍もの価格高騰を記録しました。1stや2ndに至っては、高騰ぶりはさらに大きいレベルに達しています。

同様の現象は、スポーツウェアの定番であるチャンピオンのリバースウィーブにも見られます。90年代以前のヴィンテージとされるリバースウィーブは相場が高騰しており、デザインと状態の良いものであれば10万円以上で流通しているケースも数多くあります。この背景には、日本国内だけでなくアメリカ本国でも人気が再燃していることがあります。国内の一部の希少アイテムに限られていた高値取引が、世界規模での争奪戦へと発展しているのです。

古着は自己表現の手段から投資対象へと性格を変えつつある

価格高騰の裏側で静かに進行しているのが、古着が本来持っていたサブカルチャーとしての側面の喪失です。ジャネル・ベストのような業界の当事者たちが繰り返し指摘するのは、単なる価格の問題だけではありません。古着を選ぶという行為が持っていた文化的な意味合いそのものが変質しつつあるという危機感です。

かつて古着屋を訪れる人々の多くは、既製の流行に染まらない自分だけのスタイルを見つけるために、時間をかけてワゴンを漁っていました。そこには偶然の出会いや発見の喜びがあり、それが古着ショッピングの醍醐味でした。しかし、スマートフォンで転売価格を検索しながら商品を選ぶという行動様式が一般化したことで、古着はもはや自己表現の手段というよりも、投資対象や換金可能な資産としての性格を強めつつあります。

この変化は業界の未来にとって両義的です。市場が拡大し、経済的な注目を集めることは、業界全体の持続可能性や雇用の拡大という点ではプラスに働きます。一方で、かつて古着文化を支えてきた変わり者や掘り出し物を愛する人々にとっては、もはや自分たちの居場所ではなくなりつつあるという疎外感を生んでいることも事実です。

ガーナの古着市場では毎週1,500万点の4割が廃棄されている

良質な古着の供給が先細りしている背景には、大量に生産され安価に流通したファストファッション由来の衣類が、リユース市場において十分な価値を持てずに廃棄されているという構造的な問題があります。象徴的な事例が、西アフリカ・ガーナの首都アクラにあるカンタマント市場です。カンタマント市場とは、世界最大級の古着市場として知られる場所で、毎週1,500万点もの古着が世界中から流入しています。しかし、そのうちの約40%は品質が低すぎる、あるいは現地の需要に合わないといった理由で、最終的に廃棄されていると推定されています。この現状から、ガーナは服の墓場という不名誉な異名で呼ばれることさえあります。

廃棄された衣類はビーチにも積み上がり、やがて波に流されて海を汚染します。土壌や水質の汚染、有害化学物質による健康被害、マイクロプラスチックによる海洋汚染など、環境への負荷はきわめて深刻です。ファストファッションは耐久性の低い素材や縫製が用いられることが多く、こうした衣類はリユース市場でも価値が低く、すぐに廃棄物となってしまいます。この事実は、一見すると価格高騰とは無関係に思えるかもしれませんが、両者は表裏一体の関係にあります。リユース市場で価値を持ちうる質の良い古着の絶対量が世界的に不足していく一方で、それを求める需要だけが膨張し続けているのが実情です。安価に大量生産された衣類は使い捨てられ、真に価値のある一点物だけが希少化していきます。この需給ギャップの拡大こそが、価格高騰のもうひとつの構造的な理由です。

ハイブランドの値上げが中古市場への流入を加速させている

見落とされがちですが、新品の価格動向も古着高騰と密接に関わっています。多くのハイブランドは毎年のように価格改定を行っていて、平均すると5%前後の値上げが続いています。この結果、欲しかったブランドや商品の値段はどんどん高くなり、定価で購入できるのは一部の富裕層のみという状態が広がりつつあります。

こうした新品価格の高騰が、消費者の目を中古市場へと向けさせています。中古のファッション・高級品を購入する動機として最も多く挙げられるのは手頃な価格で、回答者の約8割がこれを主な理由に挙げているという調査結果もあります。豊富な種類やユニークさ、環境への配慮といった要素も購入を後押ししていますが、根底にあるのは新品では手が届かなくなったものを中古でなら手に入れられるという経済合理性です。

この動きは日本国内に限りません。ルイ・ヴィトンのスピーディやネヴァーフル、シャネルのマトラッセ、エルメスのバーキンやケリーといった、時代を超えて愛され続けるハイブランドの定番モデルは、中古市場でも圧倒的な人気を誇ります。ボストン コンサルティング グループとヴェスティエール・コレクティブは、ファッション・高級品の中古市場規模が2030年までに最大3,600億ドルに達する見込みだと報告しています。これは新品の高級品市場に匹敵する規模へと成長しつつあることを意味します。

さらに近年注目されているのが、日本の中古ブランド品を求めて来日する外国人観光客の存在です。日本人特有の物を丁寧に扱う習慣により、中古品であっても新品同様の状態が保たれていることが多く、これが海外の富裕層やバイヤーからの強い需要につながっています。来日した外国人が数日間で1,500万円相当もの高級ブランド中古品を買い漁ったという事例も報告されていて、日本国内のブランド古着相場を押し上げる一因になっています。こうしたインバウンド需要の高まりは、ヴィンテージのアメカジ古着だけでなく、ブランド古着というカテゴリー全体においても、価格高騰の新たな火種となっています。

スポーツ系古着はナイロンジャケットが数年で倍以上の価格に跳ね上がった

近年とりわけ値上がりが著しいジャンルとして注目されているのが、スポーツ系の古着です。ナイロンジャケットやスウェットといったアイテムは、数年前であれば5,000円前後で購入できていましたが、現在ではその価格が倍以上に跳ね上がっているケースが報告されています。

かつてスポーツブランドの古着は、アメカジやヴィンテージデニムと比べると二番手的な扱いを受けることが多いジャンルでした。しかし、レトロなスポーツウェアがストリートファッションのトレンドとして再評価されるようになったことで、状況は一変しました。希少なカラーリングやロゴデザインを持つ一点物には、コレクター的な価値まで付与されるようになっています。古着市場のなかでも値上がりの波は一様ではなく、次々と新しいジャンルへと飛び火しながら、市場全体を巻き込む形で拡大を続けているのが実情です。

投機的な古着ブームはいずれ落ち着くとみる業界関係者もいる

リユース市場は伸び続ける一方で、投機的な古着ブームそのものはいずれ落ち着きを見せるだろうという見方を示す業界関係者もいます。ここまで見てきた七つの理由、つまりフリマアプリによる相場の可視化、Z世代の転売行為、パンデミックが生んだオンライン宝探しの習慣化、円安と輸入コストの上昇、大手リユース企業の参入、新品ブランド品の値上げ、そしてスポーツ系古着への波及は、それぞれ独立して存在しているわけではなく、互いに影響し合いながら古着市場全体を巻き込んでいます。市場規模が兆円単位で拡大を続けるいま、古着はニッチなサブカルチャーではなく、大きな経済圏の一部として位置づけが変わりつつあります。

とはいえ、投機的な熱狂と、リユースという行為そのものが生活文化として定着していく流れは、分けて考える必要があるでしょう。前者はいずれ収束に向かう可能性が高く、後者は今後も市場規模を維持しながら続いていくと考えられます。ジャネル・ベストのような業界の古参が語るノスタルジーは、単なる懐古主義として片づけられない重みを持っています。変わり者だけが宝を見つけられた時代が終わりを告げ、誰もがスマートフォン片手に相場を検索しながら服を選ぶ時代がやってきました。古着価格の高騰は、経済現象であると同時に、私たちの消費習慣そのものの変化を映し出しているといえるでしょう。

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