しまむらグループは、京都市の四条河原町に、2029年をめどに7階建ての商業ビルを建てると発表しました。ブランドの旗艦店(フラッグシップショップ)を担う施設で、しまむら、アベイル、バースデイ、シャンブル、ディバロの5業態を展開する予定です。
グループが掲げる目的は、外国人観光客への認知度向上です。海外への出店を見据えた動きで、開業に先立つ2026年度中には、期間限定店舗も営業する予定になっています。
京都府には、すでにグループの店舗が37店舗あります(2026年9月20日時点)。ただ、店舗がある区として挙がっているのは北区・南区・右京区・西京区・伏見区・山科区などで、下京区は含まれていません。今回の出店先は、京都の買い物客と観光客が交わる、京都のど真ん中です。
2026年9月30日現在で公表されているのは、時期と規模、役割、目的までです。以下、発表内容から順に整理します。

2029年開業の7階建て旗艦店は、四条河原町にグループの5業態が集まる計画

発表内容は場所・時期・規模・目的の4点で整理できる
しまむらグループの本社は、埼玉県さいたま市にあります。その会社が京都市の四条河原町に新しい商業施設を建てる、というのが今回の発表の中身です。2026年9月29日付でFASHIONSNAPが報じたほか、複数のメディアが同じ内容を伝えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表した企業 | しまむらグループ(本社:埼玉県さいたま市) |
| 場所 | 京都市の四条河原町(阪急河原町駅近くの下京区) |
| 開業時期 | 2029年をめど |
| 建物 | 7階建ての商業ビル(新築) |
| 位置づけ | ブランドの旗艦店(フラッグシップショップ) |
| 目的 | 国内外への認知拡大と新規顧客の獲得 |
| 開業前の企画 | 2026年度中に期間限定店舗を営業予定 |
表のとおり、建物は商業ビルです。単独の店舗ではなく、グループの複数業態をまとめて入れる前提で計画されています。
旗艦店は売り場面積よりも、ブランドを見せる役割が先に立つ
旗艦店(フラッグシップショップ)とは、ブランドを代表する店舗のことです。品ぞろえを増やすことより、そのブランドが何を大切にしているかを来店客に見せる役割が先に立ちます。
しまむらグループの場合、その役割は国内外への認知拡大とされています。全国に店舗を持つ企業が、あらためて旗艦店を構える。ここに、今回の計画の重みがあります。
建設地は四条通沿いの京都中央信用金庫の跡地で、土地を取得して自前のビルを建てる
賃借ではなく取得した土地に建てる点が、ほかの出店と違う
出店先は、四条通沿いにある京都中央信用金庫四条店の跡地です。四条麩屋町の西側で、京都中央信用金庫の旧店舗があった一角にあたります。しまむらは、旗艦店の開発とさらなる認知度向上に向けて、この土地を取得しました。
既存のビルに入るテナント出店ではなく、用地を確保して自社でビルを建てる形です。商業施設ニュースは、この計画を「自前の旗艦店」という言葉で表現しました。記事の見出しは「郊外から都市へ、そして世界へ」で、郊外の日常着というしまむらの強みを、都市部や海外でも通用する形に持っていく試みとして位置づけています。
土地を買って建てる以上、店を閉じたくなったときの身軽さは賃借より小さくなります。それでも取得を選んだのですから、京都の中心部に長く腰を据える覚悟がうかがえます。
期間限定店舗は今年度中、住所は寺町西入ルの奈良物町
開業前の2026年度中に営業する期間限定店舗の住所は、京都市下京区四条通寺町西入ル奈良物町367番外です。2026年度は2027年3月までを指します。期間限定店舗の営業時期や期間は、今回確認できた範囲では公表されていません。
ここで一つ断っておきます。期間限定店舗の住所と、7階建てビルの建設地が同じ場所かどうかは、公表内容からは判断できません。どちらも四条通に面した住所表記ですが、同一の土地とは書かれていないため、別々に扱います。
7階建てのビルには、しまむらなど5つの業態が入る

5業態は衣料から子育て用品、靴まで守備範囲が広い
ビルに入る予定の業態は、次の5つです。
| 業態 | 特徴 |
|---|---|
| しまむら | お手頃な価格で衣料・雑貨を取り扱う、総合ファッションチェーンの中核業態 |
| Avail(アベイル) | カジュアルから最新トレンドまでコーディネートできる業態 |
| Birthday(バースデイ) | 出産準備から子育てまでに対応する業態 |
| Chambre(シャンブル) | 雑貨やインテリアもそろう業態 |
| Divalo(ディバロ) | 靴とファッション雑貨の業態 |
これだけ幅の広い業態が一つのビルに集まれば、家族連れも、ひとり旅の観光客も、それぞれ目当ての売り場を見つけられます。しまむらグループは、この施設が多様なニーズに応える場になると位置づけています。
各階にどの業態が入るかは、まだ公表されていません
7階建てという規模は決まっていますが、どの階にどの業態が入るのかは、確認できた範囲では公表されていません。延床面積も同様です。
5業態を7つの階にどう割り振るのか。ここは今後の発表を待つしかない部分で、旗艦店の性格を決める大きな要素になります。たとえば、観光客に近い入口の階にどの業態を置くかで、ブランドの見せ方が変わってくるからです。
出店の目的は、外国人観光客への認知度向上と海外出店の準備
グループの説明は「認知度向上」と「新規顧客の獲得」の2本立て
しまむらグループは、出店の目的を次のように説明しています。
「海外への出店を見据え、外国人観光客の皆さまに対するしまむらグループの認知度向上を図るとともに、国内外のお客様にご利用いただける機会を広げ、新規顧客の獲得を目指します」
前半は海外に向けた話で、後半は国内外のお客に向けた話です。京都の旗艦店は、国内の店舗網を増やすためだけの出店ではありません。外国人観光客に、まずしまむらというブランドを知ってもらう。その場所として、国内外から人が集まる四条河原町が選ばれました。
海外展開はタイのECと現地でのポップアップ店舗から始まっている
海外展開の動きは、京都の発表より前から進んでいます。しまむらは東南アジア市場への進出を計画しており、まずはタイで自社ECとモールへの出店を予定しています。タイのバンコクにある大手ショッピングセンターで、ポップアップ店舗を出す計画もあります。
2025年2月期には、越境ECのノウハウを学び、出店候補地や商品動向を調べる目的で、代行業者による越境ECに取り組みました。その後は、現地サイトへの出店による越境ECと、実店舗の出店に向けた調査を進めます。中期経営計画の後には、海外ECの出店や海外実店舗の出店も視野に入れています。
この順番を見ると、京都の旗艦店は海外実店舗の前段階に置かれていることがわかります。海外で店を開く前に、日本を訪れる外国人にブランドを見てもらう。手順としては筋が通っています。
京都府の37店舗は郊外中心で、河原町の旗艦店は立地の性格が大きく違う
店舗がある区に下京区は入っていない
2026年9月20日時点で、京都府にはしまむらグループの店舗が37店舗あります。京都市内で店舗があるのは、北区・南区・右京区・西京区・伏見区・山科区で、そのほかに郊外にも店舗があります。
一方、今回の出店先は、阪急河原町駅近くの下京区です。京都の買い物客が集まり、国内外の観光客で混み合うエリアで、これまでの店舗網とは客層も歩く人の数も違います。
日常の買い物先としてのしまむらが、観光地の中心に店を構える。この落差は、発表の直後から驚きの声を呼びました。
四条通では訪日客向けの出店が続いている
四条通は、祇園・河原町・錦市場といった人気観光スポットを結ぶ幹線上にある、京都随一のショッピングエリアです。
2026年2月10日(火)には、関西初のインバウンド特化型の衛星店として「ドン・キホーテ四条通店」がオープンしました。すでに営業している「ドン・キホーテ四条河原町店」から、約650メートル離れた四条通沿いです。外国人観光客に強い業態の出店は、今後も続く見通しです。
背景には、京都市の外国人宿泊数の伸びがあります。2019年の380万人から、2023年は536万人へと増えました。差は156万人、率にして約1.4倍です。2024年も過去最高の水準になる見通しでした。
しまむらの旗艦店は、こうした訪日客向けの店づくりが進む通りに、2029年に加わることになります。
四条通の高級ブランドのイメージと、しまむらの距離感が話題を呼んでいる
京都情報メディアのKyotopiは、この計画を「ブランド店並ぶ四条通にまさかの『カジュアル衣料店』2029年開店予定」という見出しで報じました。四条通は高級ブランド店が並ぶ通りとして知られており、お手頃な価格のカジュアル衣料を扱う企業が旗艦店を構えることに、意外性があります。
建設予定地では、しまむらの開業をほのめかす表示がすでに出ています。これを見た人からは、次のような声が上がりました。
「海外の観光客向けに?」
「おもしろい!」
「河原町はいいものを買いに行くイメージ」
三つ目の声は、河原町に対するイメージと、お手頃価格のしまむらとの落差を突いています。ただ、グループが旗艦店に持たせた目的は、あくまで外国人観光客への認知度向上です。お手頃価格の店が河原町に出ること自体は、目的ではなく手段にあたります。
決算は過去最高の売上7000億円超で、都市部への出店強化は長期経営計画に書かれている

2026年2月期は売上高7000億3400万円で、増収増益を記録した
しまむらの2026年2月期の連結決算は、売上高が7000億3400万円で、前期より5.2%増えました。営業利益は614億8300万円(同3.8%増)、当期純利益は444億6000万円(同6.1%増)で、いずれも過去最高を更新しています。
国内売上高は前期比5.0%増でした。しまむら、アベイル、バースデイなど、すべての事業で前年の売上を上回っています。主力事業では、高機能商品が好調でした。
京都の旗艦店に入る5業態のうち、しまむら、アベイル、バースデイの3つが、この決算で前年を上回った事業です。好調な業績のなかで、旗艦店の計画を打ち出したことになります。
EC売上高は196億円で、前期比51.7%の伸びを見せた
EC売上高は、前期比51.7%増の196億円でした。逆算すると、前期は約129億円です。2025年10月にオンラインストアを統合したことで集客力が上がり、サイトの訪問者数は約3倍に増えました。タイでのEC進出も進んでいます。
実店舗の旗艦店と、ECの海外展開。この二つは、どちらも外国のお客にブランドを知ってもらう入口になります。
長期経営計画2030は、都市部を弱みと位置づけて出店を強める方針
2025年3月に公表された「長期経営計画2030」には、都市部への出店強化と、店舗の再配置・改装の推進が盛り込まれています。
計画は、都市部ではまだ店舗数が少なく、認知度と立地の両面に課題があるとして、この点を弱みと位置づけました。そのうえで、都市部でも高頻度来店モデルを展開できる出店を目指すと明記しています。
出店の手法も書かれています。従来のドミナント出店(特定の地域に集中して店を出す方法)に加えて、土地や建物の取得も検討する。移転や改装で効率を上げることにも力を入れる。海外展開については、新しい海外展開も含めた新規事業の研究を進めるとしています。
四条河原町の旗艦店を、この計画に照らして見てみます。土地を取得し、都市部に出店し、海外展開の準備を進める。計画に書かれた3つの要素が、一つの案件にそろっています。私はこの旗艦店を、長期経営計画2030の方針を形にした大型案件として読みます。
ドラゴンクエストとのコラボは2026年10月7日に始まり、全国の約1,400店舗で展開する
コラボ商品は100種類超で、対象商品の購入特典がある
しまむらグループは、2026年10月7日(水)から、国民的ゲームの『ドラゴンクエスト』とのコラボレーションを始めます。コラボロゴをデザインしたTシャツとエコバッグのセット、アパレル雑貨、ルームアイテム、カーアイテムなど、100種類を超える商品を、全国のしまむら約1,400店舗で展開する予定です。
対象商品を含めて税込5,000円以上を購入すると、「オリジナルショッパー」(全2種)を1枚もらえます。
一部店舗に巨大スライムなどのオブジェが登場する
一部の店舗には、幅約2メートルの巨大な「スライム」や「ロトのつるぎ」などのオブジェが登場します。さいたま新都心店には、「はぐれメタル」や「ドラキー」などのモンスターのオブジェも置かれる予定です。
前日の2026年10月6日(火)20時からは、「本日開店!スクエニ商店」で、登場するアイテムが紹介されます。
しまむらグループは、日本のさまざまなキャラクターとのコラボアイテムも展開しています。記事では、海外からの観光客にとっても、お手頃なお土産の需要を満たすのではないかという見方が示されました。京都の旗艦店でコラボ商品をどう扱うかは、発表されていません。
2025年3月の長期経営計画から2029年の開業まで、時系列で追う
計画の公表から旗艦店の完成までは約4年の道のり
ここまでの動きを、日付の順に並べ直します。しまむらの都市部戦略は、突然出てきた話ではありません。2025年3月に長期経営計画2030が公表され、その約1年半後に京都の旗艦店が発表されました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2019年 | 京都市の外国人宿泊数が380万人 |
| 2023年 | 京都市の外国人宿泊数が536万人 |
| 2025年2月期 | 代行業者による越境ECに取り組む |
| 2025年3月 | 長期経営計画2030を公表 |
| 2025年10月 | オンラインストアを統合 |
| 2026年2月10日(火) | ドン・キホーテ四条通店がオープン |
| 2026年2月期 | 売上高7000億3400万円で過去最高 |
| 2026年9月20日 | 京都府の店舗数は37店舗 |
| 2026年9月29日 | FASHIONSNAPが京都の旗艦店計画を報道 |
| 2026年10月7日(水) | ドラゴンクエストとのコラボを開始 |
| 2026年度中 | 期間限定店舗を営業予定 |
| 2029年 | 7階建ての旗艦店を開業予定 |
2025年3月から2029年までは、約4年です。計画を公表した時点で、土地の取得まで含めた出店手法が書かれていました。京都の案件は、その方針を実際の土地とビルに落とし込んだものです。
期間限定店舗は2026年度中、旗艦店の開業までに約3年ある
開業の2029年まで、まだ約3年あります。その間に、2026年度中の期間限定店舗が営業される予定です。品ぞろえや営業期間は、確認できた範囲では公表されていません。
四条河原町で実際に店を開けた結果は、2029年の旗艦店を考えるうえで、大きな参考情報になります。営業の詳細が発表され次第、あらためて確認したい点です。
よくある疑問への回答
開業はいつで、何階建てなのか
開業は2029年をめどとされています。具体的な開業日は、確認できた範囲では公表されていません。建物は7階建ての商業ビルで、場所は京都市の四条河原町、阪急河原町駅近くの下京区です。
どんな店が入るのか
しまむら、アベイル、バースデイ、シャンブル、ディバロの5業態を展開する予定です。衣料と雑貨に加えて、出産準備から子育てまでの用品、インテリア、靴までを扱います。階ごとの配置は、まだ公表されていません。
開業前に行ける店はあるのか
2026年度中に、期間限定店舗を営業する予定です。住所は京都市下京区四条通寺町西入ル奈良物町367番外です。営業を始める日や期間については、詳細は公式発表をお待ちください。
なぜ京都なのか
グループは、外国人観光客への認知度向上と、国内外のお客が利用できる機会を広げることを理由にあげています。四条河原町は、国内外から多くの観光客が訪れる世界的な観光地です。京都府に37店舗を持ちながら、あえて観光客が集まる中心部に旗艦店を建てるのは、認知度向上に狙いを絞った結果といえます。
延床面積やフロア構成など、今後の発表を待つ点
現時点で確認できていないのは、延床面積、各階のフロア構成、具体的な開業日、期間限定店舗の営業時期の4点です。これらは公表された内容に含まれていないため、この記事では触れていません。
わかっている範囲を、あらためて並べておきます。2029年をめどに、京都市の四条河原町で、7階建ての商業ビルを開業します。5つの業態が入り、ブランドの旗艦店を担います。目的は、外国人観光客への認知度向上と、海外出店の準備です。開業前の2026年度中には、期間限定店舗が営業される予定になっています。
四条通には、訪日客向けの出店が続いています。そのなかで、お手頃価格を持ち味にするしまむらが、土地を取得して自前のビルを建てる。決算は過去最高で、長期経営計画2030は都市部の出店強化を掲げています。京都の旗艦店は、2029年に向けたしまむらの動きを追ううえで、最初に押さえておきたい案件です。
しまむらの大型店の売場づくりについては、西友大森店の大規模売場でも紹介しています。








